日本が世界に誇る文化である和食。その味を支えている味覚のひとつにうま味があります。「誰もが味噌汁を飲んでほっとする」そんな心が和らぐ効果を感じたことがあるのではないですか?
日本人はうま味に自然に触れてきていますので、うま味の美味しさを知っています。実はこのうま味のもとになる成分には、健康やダイエットに役立つ作用があることが分かってきました!
昆布に含まれるグルタミン酸がポイント!
昆布などに含まれるアミノ酸の一種であるグルタミン酸は、過度な食欲を刺激します。その一方で食後の満腹感を長持ちさせ、食べ過ぎを防ぐと言われています。
グルタミン酸の受容体は胃にもあり、迷走神経を通じて脳を刺激してタンパク質を消化、吸収に関わっていることも分かってきました。
グルタミン酸はカツオだしなどに含まれるイノシン酸と一緒に摂ることで、うま味が7倍以上になるという研究データがあるそうです。イノシン酸には血流を促す作用、疲労回復効果などが確認されています。
だしを手軽に摂るには味噌汁やすまし汁、スープにして飲むのがおすすめです。飲み物としてだしを取り入れてみましょう。
だしが摂取カロリーを抑える実験
健康な成人12人を2群に分ける実験を行いました。通常の食事に加え、グルタミン酸を0.5%含むコンソメスープと含まないスープを飲んでもらいました。
その後ケーキやスナック類のデザートを提供し、摂取カロリーを調べました。その結果、グルタミン酸を含むスープを飲んだ群の摂取カロリーは、含まないスープを飲んだ群に比べて低かったようです。
だしの健康・ダイエット効果
グルタミン酸を含む食事をすると、含まない食事に比べて満腹感が持続するという報告があります。
イノシン酸がうま味の主成分となるかつおだしについても、かつおだしを含む食事をした場合、含まない食事よりも満腹感が続きやすかったようです。
またグルタミン酸を含むスープを食後に摂取することで、その後の間食による摂取カロリーが減るという報告もあります。
うま味成分には、精神的な安定を促す作用がある事もわかってきました。かつおだしの摂取により緊張感、不安感などの総合的な感情が改善するという報告があります。
このことから精神的なストレスを軽減する効果が期待できます。グルタミン酸の摂取で胃の運動が活発になります。食欲が安定し、自律神経や精神状態と作用し合う可能性があるという報告もあります。
かつおだしに含まれるヒスチジンやアンセリンには血流を促す作用があり、様々な疲労の回復を促すという事が分かってきました。運動後の疲労、精密作業の精神的な疲労、眼精疲労改善したという報告もあります。
温かいだしを摂取することで体が温まり血流が促進され、冷えの改善効果が期待できます。
125mlのかつおだしを摂取することで、皮膚の血流量がアップしたという報告があります。血流を促すことで肩こり、頭痛を和らげる作用も期待できます。
昆布に含まれるネバネバの元は、水溶性食物繊維のアルギン酸です。過剰な脂肪の吸収抑制、血糖値の急激な上昇を抑える作用があります。また昆布のだし汁で内臓脂肪の蓄積が抑えられるという動物実験の報告もあります。
だしライフを充実させるレシピ
だしを幅広く楽しめるのがスープです。だしというと味噌汁やすまし汁というイメージが強いですが、実は洋風にも合います。特にグルタミン酸が豊富なトマトとの相性は抜群です!
またお茶のようにだしを楽しむ方法もあります。カフェインを含まず血流を促す作用もあるので、寝る前のドリンクとしてもおすすめです。
だし+梅干し
香りで心がホット緩むおやすみ前のリラックスドリンクです。合わせだしで梅の塩気が和らぎ、ほっとする味です。馴染み深いだしと梅の香りで凝り固まった心身も緩み、血流もアップ。おやすみ前のドリンクに。
だし+生姜
体の中から温まる葛湯風ドリンクです。生姜のピリッとした辛味成分であるジンゲロールとショウガオールは、血流を促し体を温める効果があります。冷え症の人におすすめです。
だし+トマトジュース
トマトの赤い色素はカロテノイドのリコピンです。抗酸化作用が強く血流を促す作用があります。合わせだしとの相性も良く、食事のお供にもなります。
だしのとり方
・電子レンジを使う
水500mlに昆布10センチ角を1枚、鰹節をひとつまみ入れ、600wの電子レンジで3分加熱します。出来上がりですぐに使えますが、加熱後10~15分置くとだしの風味が一層出ます。
・調味料やだしパックの活用
うま味を加える最も簡単な方法が粉末調味料ですね。ひと味足りない料理に加えると、ぐっとうま味が増します。また流行りのだしパックは、だし殻が生じないのがメリットです。
調理が苦手という方、だしはめんどくさいという方は「水だし」という方法があります。 この水だしに最近ハマっているワケは、簡単&手軽にだしがとれるからです。
和食のとり方の決め手はだしのうま味。でもイチからキチンとだしを取る人は少ないのが現状です。昆布をつけて水につけて待つ時間、加熱する時間、越す作業とステップが多く、毎日は無理という声が!
その手間を省いちゃいましょうと立ち上がったのが、この道ウン十年のベテラン料理家、武蔵優子先生です。昆布と削り節を水につけるだけの手軽な水だしです。私は1リットル用の冷水筒を使用しています。
水だしのメリット
- 水につけて冷蔵庫に半日以上置くだけ
- 3~4日保存できる
- 初心者でも失敗なく出来る
- 少量でも多めでも味が変わらずに作れる
- 少量使いに便利(合わせ調味料)
- 冷めているのでだし巻き卵、茶碗蒸しもすぐ作れる
- 煮出さないので癖やアクが出にくく上品な香り
- 手作りだから添加物の心配なし
- 水出しで作る和食で減塩、減脂、減糖生活にシフトできる。
市販の粉末調味料から水だしにシフトしました。水につけて冷蔵庫に保管するだけだから、手間がなく楽チンです。野菜の煮物や汁物など、上品で美味しい和食が作れるようになりました。
だしは飲み物として摂るのが最も手軽ですが、和食が好きな方はぜひ料理にも取り入れてみて下さい。昆布と鰹節からとれるだしで毎日の和食が一層美味しくなり、しかもダイエットに効果的なんです!