食事をすると体が熱くなったり汗をかいたりしますが、これは食べ物を消化吸収する過程で出る汗です。体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費されているのです。
このため食事した後は、じっとしていてもエネルギー代謝の量が増えます。これが食事誘導性体熱産生(DIT)と呼ばれる「エネルギー代謝」です。
エネルギー代謝(DIT)を高めるポイント2つ
DITには個人差があり、たくさん熱を発散する人ほど、同じ食べ物を同じ量だけ食べてもエネルギーの消費が多くなります。食事をした後に体温が上がる人ほど太りにくくなるのです。
基礎代謝力と同様に、DITも年齢を重ねるごとに低くなります。また脂肪が多い人より筋肉質の人の方が高く、運動習慣のある人も高い傾向にあります。DITは食事時間や食べ方で変わってきます。そのポイントは2つあります。まずよく噛んで食べることです。
一口に20~30回噛むと、活動をつかさどる交感神経が刺激され、DITが高まります。よく噛んで食べると脳の老化防止にもなるし、自然とゆっくり食べることになります。
食事中にきちんと満腹中枢が刺激される効果もあるので、食べ過ぎを防ぐことができます。それに早食いをしなくなるため、血糖値の上昇を緩やかにする効果もあります。
DITを高める二つ目のポイントは、体温を温める食事をすることです。夏でもじんわりと汗をかく夕食は、体が老けない夕食です。
夕方にDITを高めるのがコツ
夕ご飯にたんぱく質をメインに摂ると、DITを高めることができます。それは、3大栄養素の中で燃料として消費される量が一番多いのがタンパク質だからです。
食事の20~30分前に軽くストレッチしたり、少し歩いたり、または食後に緑茶や紅茶を飲んでもDITは上がります。その他にも夕暮れ時に商店街を歩いて肉屋さんの揚げたてコロッケを目にしたり、焼き鳥屋さんから漂う香ばしい香りをかいだりしてもDITは高まります。
夕ご飯は汗をかきながら食べてみましょう。DITが低くなる夕方に、温かいものや辛いものを食べるのです。DITが上がれば熱が生まれて体温が上がります。食後ゆったりくつろいでいても、痩せる仕組みの褐色脂肪細胞が余分なカロリーを熱にして体外に放出します。
夜間は基礎代謝の働きも盛んになるので、その日に摂った栄養は燃料として消費され、蓄えられている体脂肪も燃えます。「体脂肪を作らない、体脂肪はため込まない。」これが太るカロリーを痩せるカロリーに変える、夕ご飯の食べ方です。
鍋料理はもっと増やしたいメニューです
汗をかいて痩せる夕ご飯といえば鍋物です。魚、肉は熱湯にくぐらせることで脂が落ち、野菜がたくさん摂れます。薬味に唐辛子を使えば、ますます汗をかいて代謝が上がりますよ。
唐辛子は血液の流れをスムーズにするは働きがあり、DITや基礎代謝を高める代表的な食材です。生姜が体の芯から温めるのに対し、唐辛子は手足などの末端を温めます。辛み成分のカプサイシンには、糖を分解する働きもあります。
唐辛子、ラー油などの香辛料を過度に使用し、アツアツで香辛料もたっぷりのキムチ鍋といきたいところですが、胃や腸などを刺激するのでたまにということにしておきましょう。たくさん食べると体が熱くなり寝つきが悪くなってしまいます。
主菜も副菜も一つ鍋の種類によっては、汁がスープ代わりにもなります。量も進むのでご飯を抜いても問題ありません。野菜たっぷりの鍋はローカロリーなので、夏のダイエットにもっと利用したい料理です!