ご飯やパン、麺類などを控える低炭水化物ダイエットは、ローカーボダイエットとも呼ばれています。体重を減らす効果があるとして若い世代を中心に人気です。
しかし医療関係者の間では「健康を損なう危険性がある」との声が強まっています。
2017年11月、日本医師会と米国安定供給確保支援機構主催の「食育健康サミット」が東京都で開かれ、医師らが炭水化物を控えることの危険性を強調しています。
低炭水化物(ローカーボ)ダイエットの問題点
ローカーボダイエットは、炭水化物を控えて肉類などタンパク質や脂質中心の食事を摂ることで体重を減量させる方法です。
若い世代を中心に広まっていますが、医学界では批判の声が多いです。さらに日本糖尿病学会も推奨できないと提言しています。食育健康サミットでは栄養のバランスが乱れやすいローカーボダイエットの問題点を指摘する声が相次ぎました。
京都大の名誉教授によると、炭水化物をとらないことで短期的に体重が落ちても、体内の脂肪は変わらずに水分が減っているだけの場合が多いようです。標準体重でも体脂肪の高い「隠れ肥満の若者はむしろ増えている」と指摘しています。
ある女子大学の学生約100人を調査したところ、隠れ肥満は50%に達し、低血圧35%、冷え性21%などの問題もありました。
この学生たちに正しいダイエットとして、管理栄養士が調理したご飯や味噌汁、魚、果物などの3食(1食あたり400キロカロリー)を2週間提供しました。
間食はしない生活を送ってもらったところ、体重平均2.4キロ減、体脂肪1.7キロ減、ウエスト3.7センチ減。さらに交感神経の活動や脂質代謝も向上したそうです。
なぜ日本人に肥満が増えているのか?
日本人の摂取カロリー量は、昭和時代に比べると大幅に低下しているものの、肥満者は増えているようです。それは肥満や糖尿病の増加は食べ過ぎのせいではなく、座っている時間が長いことが一番の原因だからです。
立って動く時間を増やすことで筋肉の減少を抑え、高齢期の介護予防にもつながるようです。ということで、体を動かすことはおすすめです。
早稲田大研究員教授によると、若い女性の「痩せたい願望」が栄養不足に直結する危険性を指摘しています。体脂肪の低下は卵巣機能に影響し、月経周期が乱れたり無月経になったりします。
妊婦の場合はさらに影響が大きいです。妊娠初期に炭水化物の摂取が少ないと、赤ちゃんは低体重で生まれる傾向があるだけでなく、将来的に糖尿病や高血圧など生活習慣病の発症リスクも高くなる可能性があります。
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健康と長寿につながる食
高齢の糖尿病患者の研究をもとに、食育の問題も取り上げられています。カルシウムや食物繊維、緑黄色野菜などの摂取が少ないと、認知機能の低下のリスクが高まる傾向が見られるようです。
健康と長寿につながる食として、米などの炭水化物の主食、魚、鶏肉、豆類、大豆製品などのタンパク質の主菜、野菜、海藻などのビタミン、ミネラルの副菜を挙げています。旬のものを食べるなど食の多様性も大切です。
健康寿命を伸ばすためにも、女性のロコモティブ症候群(骨、関節など運動器の障害)、男性のメタボリック症候群(内蔵肥満と高血圧、高血糖などが組み合わさった状態)の予防が大切として、伝統的な日本食のメリットを強調しています。