平昌冬季五輪で66年ぶりの連覇を果たした金メダリスト。男子フィギュアスケート羽生結弦選手は、スラっと伸びた手足が演技をより美しく見せています。
実は筋肉ムキムキだという噂もあり、あの細い体からは想像もつきませんよね。ダイナミックなジャンプを飛ぶには相当な筋トレをしているはずです。
羽生さんの身長は172Cm、体重は56kg。BMIは18.9。体脂肪率は何と脅威の3%。さすがアスリートですね。割れた腹筋の美しさはネットでも話題になったほどです。
羽生選手は平昌五輪後の記者会見で意外な食生活を明かしました。
羽生選手は食べても太らない体質だった
日本外国特派員協会で記者会見が行われました。
「試合前に食べる勝負メシはなんですか?」と聞かれると、「競技前に生物を食べたりは非常に危険なので、僕は絶対にごはんを食べるようにしている」と話しました。
自身を食べても太らないタイプを打ち明け、普通のアスリートとは違う生活をしているようです。「マックも行くし炭酸ジュースが好き。一緒にポテトチップスも食べることがよくある。」と意外な食生活を明かしています。
今でこそ細マッチョの羽生選手ですが、そこに至るまでは一緒にカナダに渡った母、由美さんの涙ぐましい努力がありました。
北米の食事が口に合わなかった
2012年に羽生選手は母の由美さんと一緒に、ブライアン・オーサーコーチのいるカナダへと渡ります。そこで食事の問題にぶち当たります。大ぶりのステーキ、鹿肉などのシビエ料理、北米の食事が口に合わなかったのです。
食の細い羽生は目の前に大きな肉や大皿の料理が出ると、肉に襲われると怯えてしまうほど。濃い味付けも苦手でどんどん食が細くなっていきました。由美さんは韓国系スーパーで食材を集めていましたが、それでもダメでした。
免疫力が低下し体調不良で練習を休むこともあったようです。体力や筋力が低下して、世界選手権の直前にケガをしたこともありました。本格的な食生活の改善を決意した由美さんは専門家に相談します。
専門家の栄養指導を受けることに
その少食ぶりは栄養指導をしている方いわく、ひとくち食べたらもういらないというレベルです。彼は元々食べることに興味がなかったようです。食が細くて放っておくと全然食べません。
そのため演技後立ち上がれないほど体力を消耗してしまったり、試合が終わるごとに風邪をひいてしまうなど、体調管理が難しかったようです。
オリンピック日本選手団の栄養サポートをしているビクトリープロジェクトの栗原さんが栄養指導を行うようになりました。
もう食べられないとギブアップした20分後、また食べると箸をつけたのです。これは少食なのではなく、胃腸が動き出すタイミングが人より遅いだけだろうということでした。
羽生選手は、食べ始めてからしばらくしないとお腹が空かないタイプだったのです。そこで食事方法を提案します。
効果テキメンだった鍋料理
食べはじめに胃の動きを促進させるグルタミン酸を多く含む「だし」で食欲を刺激させます。グルタミン酸というと旨味成分で知られています。胃粘膜に作用し、消化吸収を促す性質を持つことが研究で明らかになっています。
栄養指導により羽生は、この食事法を大好きな鍋料理で実践しました。野菜たっぷり一人鍋レシピはこちらです。まず水200mlを入れた耐熱器に、細かくしたキムチ風味の鍋キューブを1個入れます。
干し椎茸適量、キャベツ60gを加熱し、一口大にしたじゃがいも45g、人参15g、三等分にしたアスパラガス1本、鶏のもも肉60gを入れます。最後にわけぎ0.2gを散らします。
600wの電子レンジで5分加熱したあと、軽くかき混ぜて出来上がりです。手軽に作れて材料も集めやすいので、遠征先ではいつも鍋だったそうです。
スープの味を変えたり食材を少し変えると、レパートリーも増えます。海外の野菜でも煮込めば違和感がなくなるので、「今日は○鍋が良い!」と由美さんにリクエストしていたそうです。
その結果、効果はてきめんでした。ゆっくりしっかりと食事を取れるようになったそうです。
グルタミン酸を多く含む食品:
湯葉、焼き麩、豚、鰹節、高野豆腐、きなこ、大豆、しらす干し、チーズ、発酵食品、昆布など
笑顔とプーさん大好きといったおちゃめな面を持ちながら、実はストイックな精神力がある人です。病気や震災などの困難を乗り越え、記録を塗り替える努力の人です。
去年の11月に行われたNHK杯の練習中、ジャンプ失敗で転倒による大けがは記憶に新しいですが、それ以前にも色々ありました。
スケートファンにとってショッキングだったのは、本番前の練習中に起きた中国人選手との衝突ではないでしょうか。流血しながら頭に包帯を巻いた状態で滑る姿は辛く、痛々しいものでした…。
平昌五輪では66年ぶりの連覇を成し遂げ、日本だけでなく世界中の人々が感動しました。数々の苦難を乗り越えた連覇達成は、誰にでもできることではありません。
羽生選手に国民栄誉賞が授与されることが決まったようで良かったです。今はただ、足のケガを完全に治してほしいですね。そしてまた元気な姿が見られるのを楽しみにしています。